「海を知る」「地球を知る」ブログ

海と地球の科学技術コンサルタント

2022.12.20

サンプルボトルの改造

 水中に降ろし海水等の水試料を採取するサンプルボトルの改造について紹介します。
 ご相談頂いたお客様は、東京大学大気海洋研究所の研究者の方です。こちらでは、所有されている複数のサンプルボトルをワイヤーロープに取り付け、船から海中に降ろし、任意の深さでボトルの上下の蓋を閉めることで様々な深さから海水を採水されています。しかしながら、サンプルボトルにワイヤーを取り付けることができる位置とボトル重心の位置関係により、ボトル自体が必ず傾いてしまいワイヤー自体が一直線となりません。そのため、上下の蓋を閉める際にワイヤーに沿わせて投入するメッセンジャー(錘)が適切にサンプルボトルのプッシュロッドを押せずに蓋が閉まらないことがしばしばあったそうです。また、サンプルボトル内の海水試料を様々な試料瓶に移す作業があるのですが、採水口(ペットコック)が1つしか設置されていないため、作業時間がかかってしまうとのことでした。
 上記内容のご相談をいただき、弊社内で検討し、以下のようなご提案と改造を行いました。

1.ワイヤーロープに取り付けた際のサンプルボトルの姿勢の向上
 サンプルボトルの傾きを軽減させるため、数パターンの改造案や運用の仕方を提案し、その中からサンプルボトルに「下部固定具」を取り付ける改造を行いました。下部固定具を追加することでボトルの傾きがほぼ無くなり、ワイヤーが一直線となることで、メッセンジャー(錘)がプッシュロッドを適切に押すことができ、上下の蓋が確実に閉まるようになりました。

2.採水効率アップのためのペットコックの増設
 従来1個設置されている採水口(ペットコック)を増設するご提案をいたしました。採水口を計2個とする改造を行い、お客様から以下のように大変ご好評をいただいております。
「採水に時間のかかるものが多いこともありますが、採水口の追加は作業時間の短縮に劇的な効果をもたらしました。画期的な改造だと思います。」
「採水口増設は(ほぼ)自分のために改造したのですが、他の採水担当者も感動しています。」

採水口の増設の様子(左:改造前、右:改造後)

今回ご紹介したサンプルボトルの改造に関しまして、ご興味がございましたらご遠慮なく「お問い合わせ」よりご連絡ください。また、サンプルボトルのテグスの調整やサンプルボトル自体の整備等も承っております。お気軽にご相談ください。