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海と地球の科学技術コンサルタント

2022.09.30

令和4年度 海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業 ~ROV を用いた大型へい死魚の効率的な回収方法の検討~(その1)

 国土交通省が海の次世代モビリティの沿岸・離島地域における新たな利活用を推進する、「令和 4 年度 海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業」の公募において、当社の提案が採択されました(事業名:「ROV を用いた大型へい死魚の効率的な回収方法の検討」)。

令和4年度 海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/ocean_policy/sosei_ocean_fr_000015.html

 本事業は当社を代表者とし、マルハニチロ株式会社様、株式会社マルハニチロAQUA奄美事業所様に共同提案者となっていただき、実証実験を開始しました。

 養殖生簀では養殖時に発生するへい死魚を潜水作業で目視確認し揚収しています。へい死魚を放置した場合はサメによる生簀網の食い破りの危険性があるため、毎日の潜水作業が行われています。また、潜水深度が約30mに及ぶこともあり潜水士への体力的な負担もある危険な作業です。
 ROVを用いたへい死魚の回収は様々な手法が開発されていますが、本事業では養殖魚の遊泳行動に影響を与えないROV航走や大型へい死魚の回収方法を確立し社会実装を目指すことに取り組みます。
 ROVはBlueRobotics社製BlueROV2を使用し、大型へい死魚の回収には当社開発のキャッチ部と市販のリストバンド型ライフジャケットの浮上機構を利用します。実証実験は予備実験として陸上のプールでROVや回収キットの操作性を確認後、養殖生簀にて本実験を行います。
 予備実験は8月から9月にかけて行い、プールや大型水槽において養殖魚に影響を与えないROV航走方法の検討と模型魚を使用した回収実験を実施しました。結果、ROV航走や模型魚の回収は問題なく実施できることを確認しました。今後実施する本実験では、実際の養殖生簀においてROVを航走させ、へい死魚の回収実験を行います。
 これらの機構を用いた養殖生簀内でのへい死魚の点検や回収が、潜水作業による体力的な負担や潜水事故の危険性を回避する一端を担えるよう取り組んでまいります。

小型へい死魚模型回収の様子

大型へい死魚模型回収の様子