「海を知る」「地球を知る」ブログ

海と地球の科学技術コンサルタント

2023.03.27

水中ドローンの操作研修と漁礁の調査

 一般財団法人横須賀西部水産振興事業団様のご依頼により、長井町漁業協同組合および大楠漁業協同組合を対象に当社が所有する水中ドローン(BlueROV2)を用いて、2023年1月末日に水中ドローン操作研修を横須賀市佐島沖にて実施しました。当時は好天に恵まれ、大楠漁業協同組合の皆様には水中ドローンの操作体験や水中映像をご覧いただくとともに佐島沖の海底の様子を観察しました。

図1 水中ドローンの映像をモニターに映し出し研修参加者で確認している様子

 佐島沖も磯焼けが進んでいる海域ですが、今回観察したポイントでは若いアラメ・カジメ場が広がっていました。水中ドローンを利用すると複数の関係者が同時に対象を観察することができ、その場で意見交換されることで撮影映像を有効に利用されていました。また、1月という冬季において、潜水作業することなく安全に海底の映像が得られることは水中ドローンの強みだと思います。

図2 佐島沖の若いアラメ・カジメ場の様子

 今回の調査では、2013年に設置された漁礁の状況確認も実施しました。漁礁設置後10年が経過しており、蝟集効果や漁礁の状態が気になるところです。漁礁の設置水深は約10mであり、このような構造物を観察するのも水中ドローンの得意とするところです。
 水中ドローンを使って漁礁を捜索し、発見したところから動画にまとめました。動画は当社Twitter(@MWJ_jp)に掲載しておりますのでご覧ください。
https://twitter.com/MWJ_jp

図3 設置されていた漁礁の様子

 漁礁にはイシダイが多く蝟集されており、漁礁内にはメバルも居着いているようでした。また、アラメ・カジメも付着しており(食害にもあっていますが・・・)、漁礁として効果を発揮しているように見えました。漁礁自体の破損も認められず、10年経過後のデータが取得できる貴重な機会にもなりました。
 水中ドローンにて取得した映像データから漁礁の3Dイメージに再構築しました。

図4 漁礁の3Dイメージ

 撮影動画データのみでは観察対象の立体的な構造や特徴を再構築する必要があり、長時間のデータを見るには時間がかかります。当社では水中ドローンで得られた撮影動画データを3Dイメージにするサービスも提供しております。3Dイメージの紹介につきましては、当社ブログの記事(2022年6月30日付「海底3Dモデル」)もご参照ください。3Dイメージは観察対象を自由な角度から見直すことができ、状況把握が容易となります。

 今回の水中ドローンの操作研修は、横須賀西部水産振興事業団の西部水産振興だより第50号でも紹介いただいており、以下のURLでご覧いただけます。
https://www.yokosuka-seibusuisan.org/newsletter/newsletter-50/

 今回の研修を通じて、漁業者のみなさまに少しでも水中ドローンを身近に感じていただけたかと思います。当社では今後もこのような活動にも積極的に協力し、みなさまに海のことを知っていただく機会を提供していきたいと思います。