2022.06.03

令和3年度海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業

~小型ASVを用いたウニ密度マップによる効率的な駆除方法の検討~(その4)

 

 3月9日(水)に「海の次世代モビリティで取り組む海の課題解決」として本実証事業の成果報告会がオンラインにて開催され、我々が取り組んだ実証試験「小型ASVを用いたウニ密度マップによる効率的な駆除方法の検討」について報告しました。成果報告会については2022年3月11日の水産経済新聞にも掲載されました(現場の「使いたい」を喚起 ~水中ドローンの現場活用~)。

成果報告会での発表

 実証試験については本ブログでも紹介してきましたが、今回が最終回となります。まだブログで紹介していない試験内容として、
 ①ウニ密度マップの作図
 ②ウニ密度マップを元にしたウニ駆除の効率化の効果検証
 ③小型ASVとROV、空中ドローンを組み合わせた調査
の三つがあります。
 ①は小型ASVを用いた調査の成果になります。小型ASVの海中部に取り付けたカメラにより海底面を連続して撮影し、撮影画像からAIによりウニを検出、その出現頻度を海底地形データにマッピングしたものがウニ密度マップです。

(左)小型ASVにて撮影した画像からAIでウニを検出(赤印が検出されたウニ)
(右)ウニ密度マップ:赤いポイントが高密度にウニが検出された場所
(ウニ密度:赤>黄>黄緑、青線:ASV航跡)

 ウニ駆除の効率をあげるためには、ウニが多く存在する場所で集中して作業することが重要です。駆除作業前にウニの分布域を把握できる上図のウニ密度マップは、駆除計画を作成する際に有効なツールになることが期待されます。
 ②では①で作成したウニ密度マップの高密度部(赤ポイント)を中心にダイバー2名によりウニ駆除を実施しました。結果は1人当たり1時間で280個以上のウニを駆除することができ、これまでの作業に比べ1.9倍の効率化を達成できました。この結果から、ウニ密度マップがウニ駆除を効率的に進めるツールとなることが示されました。
 ウニ密度マップの作図以外に小型ASVのさらなる活用を目指して③の試験をおこないました。小型ASVは、小型船舶では航行や停船することが困難な海洋構造物周辺にも定点保持機能を用いて安全に停船することができます。そのため、小型ASVにROVや空中ドローンを搭載させ、そのような場所でROVや空中ドローンを投入・飛行させることが可能か、つまり、小型ASVをプラットフォーム(無人水上基地)として利用できるかを実際の海上で試験しました。今回の試験では小型ASVにROVのみを搭載し、目的地点までASVで移動、停船後にROVを投入、陸上局からLTE回線を利用してROVをオペレーションし、消波ブロックを観察させました。空中ドローンは陸上から飛行させ、ASVとROVのオペレーションの様子を監視しました。

小型ASVからROVを投入、作業は空中ドローンで監視

 本実証試験は昨年9月に採択され、約半年間の取り組みとなりました。ASV運用技術やデータ処理手法の確立などまだまだ取り組むことが残されていますが、当社の小型ASVを用いたサービスにおいて、大きな一歩を踏み出すことができました。
 今後、このような無人ロボット技術を使って、どのように水産業の諸問題を解決できるのか、多くの関係者のご意見を伺いながら小型ASVの活用を継続し、社会実装を目指したいと考えております。
 最後になりましたが、本実証試験にご協力いただきました横須賀市長井の漁業者のみなさま、横須賀市のご担当者様には御礼申し上げます。また、一緒に試験に取り組み、適切なアドバイスやご助力いただいた東京海洋大学海洋工学部田原研究室のみなさまに感謝申し上げます。みなさまのご協力があって本実証試験を完了することができました。本当にありがとうございました。