2022.05.31

底質調査機器シリーズ(その1):グラビティーコアラー

 海底には、砂や泥、生物由来の粒子や人工物(プラスチックなど)が沈降し堆積しているところ、また、斜面や流れが速いような場所では、岩石が露出している場合があります。海底がどのような場所でどのようなものがあるかを調査することで様々なことが分かります。例えば、過去の海洋環境の変遷、その海底の地盤強度、最近ではプラスチックゴミの分布状況などです。これらの調査では、海底の堆積物や岩石を採取する必要がありますが、特に堆積物の採取には様々なタイプの器具(採泥器)があります。当社は多くの採泥器を製作販売しており、今回、グラビティーコアラーを製作する機会がありました。購入されたお客様はオーシャンエンジニアリング株式会社様で、自社でお持ちの採泥器のバックアップとしてご購入下さいました。海や湖などの地質調査の際に堆積物を採取されるそうで、近々ご使用の機会があるそうです。今回のグラビティーコアラーの仕様は以下の通りです。

表 グラビティーコアラーの仕様
仕様
全長(採泥管3m仕様) およそ4000㎜
幅×奥行 220㎜×220㎜(錘)
重量(空中) 標準仕様 約230㎏(採泥管長3m、錘8枚)
材質 本体:ステンレス、錘:鉛
採泥管(アウターパイプ) 外径89.1㎜×内径79.1㎜、材質 ステンレス
   (インナーパイプ) 外径76㎜×内径71.6㎜、材質 塩化ビニル
コア脱落防止機構 採泥器上端に上部バルブ
下端にコアキャッチャー
オプション 天秤トリガー
その他 各パーツに分解でき、人力で搬入、搬出が可能。
    • コアラー本体と錘の組み立ての様子

       本製品を製作するにあたって、実績のある20mピストンコアラー用パイロットコアラー(採泥管1m)を基にし、単独使用、かつ3mの採泥管で堆積物を採取できるよう、全体の重量を増加させた仕様としました。錘は8枚(21㎏/枚)に分かれており、錘を減らすことで全体の重量を軽くすることができますので、底質の状態に合わせた堆積物採取が可能です。

      • 左:コアラー本体に採泥管を取り付けた様子

      • 右:(参考)パイロットコアラー(1m採泥管)

        •  グラビティーコアラーによる堆積物採取の方法は以下の通りです。船などから採泥器をワイヤーに吊下げ、ワイヤーを繰り出し、海底に向けて採泥器をゆっくりと下ろします。海底に採泥器が届いた(着底)後もさらにゆっくりとワイヤーを繰り出し、採泥器自体の重さで海底にパイプを突き刺します。その後、ワイヤーを巻き上げ、パイプ内側に入った堆積物を回収します。本方法は海底面から深さ方向の堆積物の順番(堆積層序)を乱さずに柱状試料が得られる方法となります。採取できる試料の深さは必ずしも採泥管の長さとは限らず、それよりも短い(浅い)ことが多いです。また、オプションの天秤トリガーを使用することで、海底付近において採泥器を自由落下させることができますので、より勢いのある状態で採泥器を海底に突き刺し、結果的により深い堆積物の採取が可能となります。採取した試料は調査目的に合わせて様々な測定や化学分析などに使用されます。