「海を知る」「地球を知る」ブログ

海と地球の科学技術コンサルタント

2023.06.20

令和4年度 海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業 ~ROV を用いた大型へい死魚の効率的な回収方法の検討~(その2)

 国土交通省が海の次世代モビリティの沿岸・離島地域における新たな利活用を推進する、
「令和 4 年度 海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業」の公募において、代表提案者株式会社マリン・ワーク・ジャパン(以下MWJ)、共同提案者マルハニチロ株式会社および株式会社マルハニチロAQUA奄美事業所として応募した提案が採択されました(事業名:「ROV を用いた大型へい死魚の効率的な回収方法の検討」)。

令和4年度 海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/ocean_policy/sosei_ocean_fr_000015.html

 ROV(水中ドローン)を用いたへい死魚の回収は様々な手法が開発されていますが、本事業では養殖魚の遊泳行動に影響を与えないROV航走や大型へい死魚の回収キットを使った方法を確立し社会実装を目指すことに取り組みました。今回はその2として養殖生簀で行った本実験の結果をご報告します。(その1はこちらをご覧ください)

 実施体制は、当社が作業計画、資材準備、回収キットの開発、ROV運用を担当し、マルハニチロ株式会社様、株式会社マルハニチロAQUA奄美事業所様ではクロマグロおよびカンパチ養殖生簀のご提供、養殖魚の行動に関する助言、潜水撮影、試験実施船舶の運用を担当いただきました。

本事業の実証実験で訪れた奄美大島の風景

 本実験は、2022年10月から12月の各月に株式会社マルハニチロAQUA奄美事業所様のクロマグロ養殖生簀において、ROVを航走させ、大型および小型のへい死魚の回収実験を行い、本手法でのへい死魚回収を立証いたしました。

養殖場での水中ドローン投入の様子

小型マグロのへい死魚回収の様子

ROVに取り付けた回収キットを用いて大型マグロのへい死魚を捕獲した様子

回収キットの浮上機構を使って、大型へい死魚を浮上させている様子

 実験の最後の回では、カンパチ生簀でもへい死魚回収を検証し、問題なく回収が行えることを確認いたしました。
 また、奄美事業所の潜水作業を担当されている皆様に体験会を実施し、水中ドローンを用いた大型・小型へい死魚の回収を体験していただきました。

カンパチのへい死魚回収の様子

 本事業での検討内容は以下の資料にまとめておりますので、こちらもご覧ください。
 ・ROVを用いた大型へい死魚の効率的な回収方法の検討

 今後はこれらの手法を用いた養殖生簀内でのへい死魚の点検・回収が、潜水作業による体力的な負担ならびに潜水事故の危険性を回避する一旦を担えるよう、様々な養殖場に合わせたROVの機種選定・運用サービスおよびへい死魚のサイズ別の回収キットの製作を承ります。ご質問やご相談は「お問い合わせ」よりご連絡ください。