「海を知る」「地球を知る」ブログ

海と地球の科学技術コンサルタント

2025.12.10

養殖生け簀での水中ドローンを用いたへい死魚の回収

 昨年、養殖業のお客様から、養殖生け簀で発生するへい死魚をダイバーの潜水により手作業で回収しているが、生け簀の数が多いことや一度に大量にへい死する場合があり、省人化を検討したいとご相談いただきました。
当社では、令和4年に実施した「ROVを用いた大型へい死魚の効率的な回収方法の検討事業(以下、検討事業)」(https://www.mwj.co.jp/aquaculture/2364/)で水中ドローンを用いたへい死魚回収に取り組んでおり、養殖業のお客様のお困りごとに水中ドローンを使用できないかと模索しておりましたので、ご相談いただいたお客様の養殖されている生け簀に訪問し、へい死魚回収の実験をさせていただくこととなりました。
 目的としては、人が潜水せずに短時間に大量のへい死魚を回収することとし、水中ドローン(BlueROV2 Blue Robotics社製、当社所有)に取り付けるへい死魚を回収できるツールの試作機を開発・製作しました。へい死魚の回収ツールにはお客様からご要望いただいたドーザー型と当社提案の生物ドレッジ型を準備しました。実証実験としては、予備実験として横須賀市内の疑似生け簀において、へい死魚回収ツールを取り付けた際の操作やツールの調整などを行った後、2025年7月にお客様所有の養殖生け簀において本実験を実施いたしました。

養殖生け簀にて水中ドローンを投入する様子

 生け簀内への水中ドローンの潜航では、令和4年に実施した検討事業で確立した養殖魚に影響を与えない水中ドローンの航走方法を用いて、各種の検証実験を行いました。その結果、本養殖生け簀においては、生物ドレッジ型でのへい死魚回収が適切であることが分かり、最終的にへい死魚回収ツールを取り付けた水中ドローンで、1回の潜航につき、40cm程度のサイズで最大15尾のへい死魚を回収することがきました。

ドーザー型試作機

ドーザー型試作機へい死魚回収の様子

生物ドレッジ型試作機による
へい死魚回収の様子   

回収された魚たち

 今後は、本実証実験で挙げられた改良点を反映させた生物ドレッジ型へい死魚回収ツールのプロトタイプを製作し、再度養殖生け簀での実証実験を実施する予定です。引き続き、人の代わりに水中ドローンでへい死魚の回収を行えるよう製品化に向け挑戦していきます。水中ドローンを用いた養殖生け簀でのへい死魚回収について、ご検討されているようでしたら、ぜひ「お問い合わせ」よりご連絡ください。